20220529 South Korea Research Vessel Takeshima EEZ 001

Ocean research vessel "Hae Yang 2000" belonging to the Korea National Ocean Research Institute, around noon on May 29 (Courtesy of the 8th Regional Japan Coast Guard Headquarters)

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本気で日本との関係改善を図りたいと考えているとは思えない。

 

韓国の調査船が5月下旬、不法占拠を続ける竹島(島根県隠岐の島町)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、海洋調査を行った。

 

韓国では、尹錫悦新政権が発足したばかりである。尹政権は、発足前の政権移行チームの訪日で、岸田文雄首相ら日本の政府・与党幹部らと面会するなど、対日関係改善の姿勢を示していた。

 

それが政権発足直後に不当な海洋調査の挙に出たのである。言っていることとやっていることがあべこべだ。竹島は日本固有の領土で、その周辺は日本の領海やEEZだ。日本の同意がないままでの韓国船による調査は、海洋権益を侵すもので認められない。

 

海底地形に関するデータを集めていたとすれば安全保障に直結する。潜水艦の航行に資する軍事情報でもあるからだ。近年、韓国海軍の増強は著しい。調査船の動きと関係があるかもしれない。警戒が必要だ。

 

外務省などによると、竹島北方の日本のEEZ内で韓国の国立海洋調査院に所属する調査船が5月29~30日の2日間、ワイヤのようなものを海中に投入していた。

 

ワイヤのようなものを海中に投入する韓国の海洋調査船=5月30日、島根県・竹島北方(第8管区海上保安本部提供)

 

韓国の国営企業に関係する調査船は同月上旬にも、日韓の地理的中間線から日本側へ入り込んできた。尹大統領の就任時期で、林芳正外相が岸田首相の親書を手渡すため訪韓中だった。

 

韓国は4月、竹島の韓国名「独島」を冠した竹島専従調査船を就航させた。抗議ばかりで、有効な対抗措置をとろうとしない日本政府の手ぬるい対応が、韓国側を増長させてきたのではないか。

 

松野博一官房長官は会見で「即時に調査を中止すべきだと強く抗議した」と述べた。外務省の船越健裕アジア大洋州局長も2日、韓国外務省の李相烈アジア太平洋局長とソウルで会談し、韓国側に強く抗議した。韓国側は「正当な活動に対する問題提起は受け入れられない」と反論した。

 

文在寅前政権時代は、いわゆる徴用工問題や元慰安婦問題などを受け、日韓関係は戦後最悪に陥った。岸田首相は「関係改善は待ったなし」と語っている。対北朝鮮で米韓両国との連携は不可欠だが、主権が絡む問題を抗議で済ませただけでの改善はあり得ない。対抗措置を講じるべきである。

 

 

2022年6月7日付産経新聞【主張】を転載しています

 

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